活動報告
新年あけましておめでとうございます。謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
昨年の5月に札幌市長に就任いたしましてから、8カ月が経過しました。この間、就任時に皆さんにお約束した事柄で、早期に着手すべき課題については6月に補正予算を編成し、また、今後5年間の具体的な取り組みを掲げる「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」を半年余りでとりまとめるなど、これまでの経験を活かし、スピード感を持って取り組んでまいりました。
私は、194万人の市民が暮らす道都・札幌のかじ取りを担うに当たり、〝人を大事にする〟ことを原点に掲げました。地域の実情をしっかりと見つめながら、市民・企業・行政が手を取り合って地域の課題を解決する、「徹底した地域主義」によるまちづくりを進めることと、役所の理屈ではなく、私を含めた職員一人一人が持つ「市民感覚」を大切にした行政運営を行っていきたいと考えています。
そして、札幌の二つの未来の姿を描きました。一つは「誰もが安心して暮らし、生涯現役として輝き続ける街」、もう一つは「世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街」です。誰もが生涯現役として輝き続ける街であることが、都市の魅力と活力を創造する源泉となり、そこから生み出された都市の魅力と活力が、働く場の確保や経済の活性化へとつながり、人々の暮らしをより豊かにするといった、「まちづくりの好循環」を形成していきたいと考えています。
その実現のための指針が「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2015」です。この計画は「雇用を生み出す力強い街」、「女性が輝き子どもたちが健やかに育つ街」、「いつまでも安心して暮らせる街」、「魅力と活力にあふれた暮らしやすい街」という4つの重点課題を柱として、約700もの事業で構成しています。
プランのとりまとめに当たり、皆さんから多くの貴重なご意見を頂戴しました。皆さんの札幌市への熱い思いと行動力に、深く感謝申し上げます。
就任2年目を迎える今年は、策定した計画を着実に実行に移す1年としてまいります。
まず若い世代が安心して働ける雇用の場を確保するため、さまざまな業種にその効果が波及する観光産業の活性化を図ります。街全体で観光客を受け入れる「おもてなしのうねり」を創出すべく、市民のおもてなし意識の醸成や事業者のサービスアップを支援する取り組みを実施します。そして、増加する外国人観光客の受け入れ環境の整備や、
MICEの推進に力を注いでまいります。
社会全体で子育てを支える仕組みを整えることも重要と考えています。仕事と暮らしが調和したライフプランを実現できるよう、育児休業が取得しやすい環境づくりなどの取り組みを強化します。また、札幌の未来を担う「さっぽろっ子」の育成も大事な未来への投資の一つです。子どもたちの学習意欲や論理的思考力を高める教育の機会を一層充実させるほか、生まれ育った環境に将来を左右されることなく、子どもたちが自ら未来を切り開いていけるように、しっかりと支援をしてまいります。
この街に住む全ての人々が、安心して暮らし、社会に参画できる街にするための施策も大切です。高齢者が就労しやすい環境を整えることで、誰もが生涯現役で活躍できる社会を目指します。また、障がいのある方の外出支援サービスをより充実させ、社会参加をさらに後押ししていきます。
札幌が今後も国内外から多くの人々や企業を引き付けるためには、新しい試みに果敢に挑戦し、都市の魅力と活力を創造し続けることが不可欠です。そのため、子どもたちに夢と希望を与える冬季オリンピック・パラリンピックの招致に引き続き取り組むほか、北海道新幹線の札幌延伸を見据え、札幌駅交流拠点をはじめとした駅周辺のまちづくりを進めます。さらには、次世代型エネルギーとして期待される水素エネルギーに着目した、先駆的な取り組みを推進してまいります。
私たちの街・札幌は、充実した都市機能と豊かな自然を兼ね備え、多くの市民から愛される街である一方で、人口減少や超高齢社会の到来と公共施設などの都市基盤の老朽化といった大きな課題も抱えています。このようなソフト・ハードの両面に困難な課題が存在する今の札幌ですが、私はこれを、街の魅力をさらに高めるチャンスであると捉えています。高齢社会や省エネルギー社会など、これからの時代に対応した街に変えていくために、今こそ、市民・企業・行政の総力、いわば「市民力」を結集し、北海道や道内市町村ともしっかり手を携えるときです。「オール札幌」、「オール北海道」で課題の解決に取り組み、国内外から人、モノ、情報などを引き付けて都市の魅力を高め、高めた魅力でさらに多くの人、モノ、情報などを引き付けるといった良好な循環を育んでいけば、必ずやこの難局を乗り越えられるものと確信しております。
先人達が築き上げてきた、私たちの愛してやまないこの街を、さらに豊かな形で次の世代に引き継いでいくため、どうか、今年も皆さん一人一人のお力添えをお願い申し上げます。本年が皆様にとりまして、素晴らしい年となることをお祈りいたします。
札幌市長 秋元 克広